真空調理(sous-vide)で激ウマ

「真空調理」ってご存知ですか?

真空調理は、「焼く」、「蒸す」、「煮る」に次ぐ「第4の調理法」と言われている調理方法です。

ちなみにですが、真空調理は、1979年にフランスのロアンヌで食肉加工業を営んでいた料理人ジョルジュ・プラリュ氏がフォアグラのテリーヌを調理するために開発された調理方法であり、フランス語で「cuisson sous-vide」と呼ぶそうです。

私が購入したAnova(米国)の商品紹介ページにも「sous-vide」と表記されたりしていますので、海外では、「sous-vide」という呼び方が一般的なのかもしれません(どうでもいいですね笑)。

 

具体的にどのように真空調理で調理するかというと、食材をジップロックなどの密閉できる袋に入れて真空密封し、湯せんするというものです。


ステーキ、ローストビーフ、サーモンフィレなど料理によって調理時間・調理温度が変わってきますが、大体調理する際の温度が60~90℃前後であり、低温により調理であることから、「真空低温調理法」とも呼ばれます。

 

【真空調理によるメリット】

真空調理には、3つの効果があると言われています。

⒈密閉効果

例えば、煮込み料理などの場合、通常、食材と水(又は出汁など)を一緒に煮込むため、食材に含まれていた旨味や栄養素等の流失が生じてしまいます。しかし、真空調理では、食材が密閉されることにより、食材に含まれる栄養素等の流失を防ぐことができます。

⒉浸透効果

袋を真空状態にすることで、袋の中を減圧状態にすることができます。

こうすることで、袋内の食材に対し強い圧力が働き、調味液が食材の組織内に染み込みます。調味料の量を抑えることができるため、塩分や糖分を控えることもできます。

⒊低温効果

真空調理のメリットの中でも最大のメリットの一つだと考えています。

科学的料理の第一人者である水島シェフは、食材への加熱の影響を以下のように記載されています。

⒈ 40〜50℃/肉などの動物系の細胞の細胞膜や筋膜が収縮する温度帯

⒉ 45〜55℃/水分を放出することで余分な代謝物(細胞外の水分)を除去する温度帯

⒊ 60〜75℃/たんぱく質が凝固して成分分解が進みアミノ酸が増加、また体内で消化されやすい成分に編成する温度帯

⒋ 68〜80℃/コラーゲン質がゼラチンに分解されて柔らかさが高まる温度帯

ジューシーで柔らかい肉や魚に仕上げるには、これらの温度帯をどのくらいのスピードで通過するかが決め手になります。

強火による加熱は、この4つのステップを一気に駆け上がるようなものです。素材をフライパンにのせたとたん、表面がたちまち40〜50℃に達してしまい、細胞壁の破壊や筋膜の収縮が激しくなり、ギューッと収縮してしまいます。肉が固くなってパサパサするのは、強火で加熱することで、この温度帯を高速で駆け抜けるため。たんぱく質が固まって、うまみ成分のアミノ酸はできても、細胞の収縮が激しいために水分の流出は防げず、ジューシーさは失われてしまいます。 

この微妙な温度変化を逐一把握するのは、プロでも難しいことです。

出典元:『強火をやめると、誰でも料理がうまくなる」

そう、フライパンで温度管理を行うことは素人には難しいのです(この点、水島シェフは、中弱火で調理することを推奨されています。)。

しかし、サクッと、温度管理するためには、真空調理器を利用して調理しましょう。

真空調理器(Anovaなど)を使えば、これらの温度帯をゆっくりと通過することが可能となります。

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【真空調理によるデメリット】

 調理するのに時間が掛かります。

例えば、ミディアムレアのステーキだと1時間ほど掛かりますし、丸々1本のタン

を調理するのには10時間ほど掛かります。

なので、急いで調理しなくてはならない際には向いてません。

あとは、通常の料理でもそうですが、低すぎる温度で調理した場合、食中毒の危険性がありますので、その点だけは十分ご注意ください。

厚生労働省医薬食品局食品安全部による『豚の食肉の基準に関するQ&Aについて』

 

【真空調理のやり方】

厳密に食材を真空状態にするためには、真空パック器(シーラー)が必要となります。

こんなやつ↓

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ただ、真空パック器がなくても、真空(に近い)状態にすることは可能です。

 

で、具体的にどうするかというと、水圧を利用するという方法です。

 ⒈ 大きめの鍋を準備する(鍋でなくともある程度深さがあればOK)

 ⒉ 具材をジップロックなどの袋に入れて、ゆっくりと沈める

 ⒊ 締め口が完全に沈みきる直前に口をしめる。

これだけで、真空(に近い)状態ができます。

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なお、他にもストローで空気を吸い上げるという方法もあるようですが、誤って中の水分(ドリップや調味液)を吸い上げてしまうリスクがありますのでおすすめしません。

 

あとは、その食材にあった温度に設定した真空調理器をセットして、一定時間待てば、基本的には完成です。

Anovaによる調理温度と時間の例です。

・テンダーロインステーキ(ミディアムレア) 51.1℃ 45分

・リブアイステーキ(ミディアムレア) 53.9℃ 1時間

・ポークチョップ 60.0℃ 1時間

・サーモン 46.1℃ 45分

・エビ 54.4℃ 30分

・人参 83.9℃ 1時間 

 

kidd22jp.hatenablog.com

 

【まとめ】

真空調理すれば、「強火で焼きすぎてパサパサ」などの失敗のリスクがなくなるし、美味しく調理が可能になります。

真空調理で激ウマ料理を堪能しましょう!

 

ではでは〜